税金!トレーニング部

このブログは税理士・会計士のための総合支援サイト「会計事務所の広場」の部活動として、中小企業の経営者さんを応援することを目的に、日頃から疑問に思っている「税金や節税」を中心に全十回にわたって紐解いていきたいと思います。 会計事務所の広場:https://kaikei-hiroba.com/

第四回 2020年版、法人節税に使える最新の保険とは?バレンタイン・ショックから学ぶ保険に関するお話

部長:毎度皆様、アクセスいただきありがとうございます!

このブログは税理士・会計士のための総合支援サイト「会計事務所の広場」の部活動として、中小企業の経営者さんを応援することを目的に、日頃から疑問に思っている「税金や節税」を中心に全十回にわたって紐解いていきたいと思います。

会計事務所の広場:https://kaikei-hiroba.com/

 

部長:さて、前回は不動産について学んだので、今回は「保険」について学習していきましょう。

 

部員:部長、実は私も近いうちに保険のことで相談したいと思っていたんです。

 

部長:相談というのは、保険で節税しようと思ったら保険屋さんから以前と同じ保険への加入は出来ませんと言われたので、今期はどうしようか悩んでいるのですね?!

 

部員:図星です!でも、なぜそれを知っているのですか?

 

部長:それはですね、通称「バレンタイン・ショック」といって突如、金融庁が2019年2月13日に各保険会社に対して通達を出したことによって、各社が翌日の14日バレンタインデーから法人向け節税型保険の販売中止を発表したんですよ。あまりに突然のことだったので、保険業界にとっては、とても大きなニュースになりました。

 

部員:それって、保険料が経費として計上出来なくなっちゃったとか?

 

部長:半分正解のようなものですかね。金融庁いわく、解約時に返戻金として80%以上の金額が戻ってくるという契約内容ならその保険商品は、積立金とみなして「資産」であると解釈するのが妥当ということです。したがって今までのような、年間数百万円の保険料を経費として計上しているのに、10数年後には支払総額の90%近くを解約返戻金として受け取ることが出来るのは矛盾してませんか?と国税庁が指摘したということなんですね。

 

部員:経費で計上するのか、80%以上の解約返戻金を受け取るのか?どちらかにしなさいよ、ということですね。だから、半分正解かあ。 あれ?そういえば金融庁国税庁、2つ登場してきましたね。今回の件の監督省庁はどちらなんですか?

 

部長:この状況に至った理由はそこなんですよ。まず最初に、このような仕組みの保険商品を売っても良いですよ!と許認可を出したのは金融庁なんです。金融庁は銀行や証券会社、保険会社などを監督する立場なのでマイナス金利が続く中、どうにか金融業界を援護しなくてはいけない。しかし、それに甘んじた各保険会社が予想以上にこの商品を売りすぎてしまった結果、日本全国で節税型保険による節税を行う企業が続出してしまいました。そうなると今度、困るのは税金を徴収しなければいけない国税庁です。いままでの予定通りに税金を徴収出来なくなってしまったという訳で、このような自体に陥ったということのようです。

出典:朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASM2Q7GNTM2QULFA03P.html

 

部長:ちなみに金融庁内閣府の外局で、国税庁財務省の外局なのでウラでは色々とあったと思いますよ。立場上は内閣府の方が上ではありますが、予算を握っているのが財務省ですし、お互いの外局同士というのもポイントですね。

 

部員:それはもう、どっちの言い分が通るかなんて明白ですね!ウチもタテマエではお父さんを持ち上げてくれはいますが、実権はおサイフを握っているお母さんの圧勝ですよ。お母さんが怒ったら後々大変ですしね。子どもたちがケンカしても、お母さんの判断でどっちが悪いのか決まってしまいますから!

 

部長:。。物凄いミクロ的な例え方ですが、、案外当たっているかもしれませんねぇ、、、、

 

部員:大きくても小さくても組織ですからね。ウチの会社でも誰も経理部長にアタマが上がらないですからね。それより、部長。もう企業は保険に加入しないほうが良いのでしょうか?

 

部長:そのようなことは決してありません。今までに加入した保険には影響が及ばないので解約する必要もないですし、将来起こるかもしれないリスクに対して保険に加入するというのは至極当然だと思っております。それに、保険って生命保険や損害保険だけではないのはご存知ですか?

 

部員:いえ、まったく思い浮かびません。企業が法人税の節税になる保険が他にあるとでもいうのでしょうか?

 

部長:それがあるんですよ。みなさんが気づいているけど、保険に加入してない、とても重要な保険が。

 

部員:なぞなぞですか?そんなのはイイですから早く教えて下さい。

 

部長:答えはズバリ!パソコンのセキュリティです。2020年1月14日でマイクロソフトによるWindows7のサポートが終了になりました。Windows7はOSというソフトウエアなので、リリース後に発見された不具合やセキュリティ上の問題点をインターネットに接続することでサポートを自動更新していたのですが、そのサービス期間が終了になったということです。更新プログラムが無くなると、ウイルスやハッキング行為から無防備になります。

 

部員:犯罪者の視点から見れば、格好のターゲットになってしまいますね。

 

部長:そのとおりです。ウイルス開発やハッキング技術も日々進歩していく訳ですからマイクロソフトも日々サポートしてくれていた訳です。パソコン自体も日々、進化しているのでWindows7を更新するより、Windows10搭載の新しいパソコンを購入されることをオススメいたしますよ。

 

部員:ウチの会社では経理処理しているパソコンがWindows7より古いWindows XPなのですが、インターネットに接続していないので外部からのハッキングやウイルス感染といったセキュリティ上の心配は無いと思っています。

 

部長:インターネットに接続していなければ外部からアクセス出来ないだろうと思いがちですが、そのようなパソコンが実は一番危険なんです。インターネット接続されていないということは、今までも更新サポートを受けていないということです。それに、最近のハッカーUSBメモリーにウイルスを感染させてデータを盗みます。インターネットに接続してないパソコンにUSBメモリーを挿す人物が特定できれば、その人が普段使用するパソコンにウイルス感染させてUSBメモリー経由で経理のパソコンに侵入してきます。

出典:JBpress https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58712

 

部員:わかりました。とっくに減価償却も終わっているので、パソコンはすぐに買い替えます。最近でも大手企業からの情報流出騒ぎがニュースになってますしね。ウチの会社にも個人情報の他に大手企業や官公庁との取引記録がありますから情報が流出したら大変です!

 

部長:それが良いと思います。サイバー保険というのもありますから、そういった保険も前向きに検討してみると良いでしょう。東京オリンピックパラリンピックを控え、国内企業へのサイバー攻撃が急増しているようですよ。特に、サイバーセキュリティ対策が進んでいない中小企業がサプライチェーン攻撃により狙われているようです。 

出典:日本損害保険協会https://www.sonpo.or.jp/news/release/2019/2001_02.html

 

部員:いやー、保険を通して節税などを考察した結果、思ってもいない課題に当たってビックリしています。サイバー攻撃の対策は他の経営課題より優先度が低く、それほど重要だとは思ってもいませんでした。2025年までに社内システムをデジタル化すれば良いと思っていましたが、そんな悠長なこと言ってられないですね。

 

部長:そのとおりです。今期の決算でしっかりと節税してDX資金を担保して下さいね。

参照:(第一回、税金トレーニング部:中小企業の経営者さん必見!大企業に見習う節税と2025年問題のまとめ

 

部員:はい。サイバー犯罪は連鎖的に攻撃されるようなので、この情報は取引先とも共有したいと思います。部長、今回も解説していただきありがとうございました。次回も宜しくお願いします。

 

 

このブログについてのご質問、ご相談は「会計事務所の広場」までお問い合わせ下さい。