税金!トレーニング部

このブログは税理士・会計士のための総合支援サイト「会計事務所の広場」の部活動として、中小企業の経営者さんを応援することを目的に、日頃から疑問に思っている「税金や節税」を中心に全十回にわたって紐解いていきたいと思います。 会計事務所の広場:https://kaikei-hiroba.com/

第七回 最近流行りのシェアリングエコノミーとは?リース?レンタル?法人節税が出来るモノってなに?

部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

 

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最近流行りのシェアリングエコノミーとは?    

部長:さて、今回は新規事業として「レンタル事業」についての検証ですね。一般的にレンタル事業というと、どのようなレンタルを連想しますか?

 

部員:レンタルといえば、やっぱりビデオですかね。あとはレンタカー、レンタル衣装などが一般的ですかね。

 

部長:そうですね、レンタル事業は今までも色々ありましたが、最近はシェアリングエコノミーといって場所・乗り物・モノ・人などインターネットを介して共有し、 それぞれが利用したい時間に借りることができるサービスが活発です。民泊のエアービーアンドビー、アジアで有名なライド・シェアのグラブ、アルバイト・シェアのウーバーイーツ、コワーキングのウィーワークなどが有名です。そもそもシェアリングという表現をしていないサービスやレンタルという表現のほうが浸透しているので実際に「レンタル」という言葉で展開しているシェアリングサービスもたくさん存在します。

出典:経済産業省https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/joho_keizai/bunsan_senryaku/pdf/004_04_00.pdf

 

部長:動画サービスのネットフリックスやフィットネスクラブのエニタイム・フィットネスのように「定額制」でサービスを提供するモデルは「サブスクリプション・モデル」と呼ばれています。

出典:大和総研https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20190425_020768.html

 

部員:なるほど、レンタル事業がモノだけでなくサービスや人、乗り物にまで派生し、空いている時間をうまく使うことで収益を出す事業に多様化していってるのですね。

 

部長:しかし、シェアリングエコノミーは確かに好評なのですが、特有のトラブルも報告されています。理由は、利用者が使い終わった後にルールを守らない場合、次の利用者に直接被害が被ることになります。例えばカーシェアリングの場合、前の利用者が予定時間にクルマを返却してないので使うことが出来ない、社内が汚れたままだった、禁煙車なのにタバコのニオイがするといった感じです。

 

部員:予約してるのに使えなかったりしたら困っちゃいますね。特に仕事中に利用しようとかは思えないですね。

 

部長:そこなんですよね。シェアリングエコノミーは便利なのですが、個人利用者が多いので立地によっては利用時間帯が集中すると、顧客の利便性が低下し収益も悪くなります。収益を安定させるには企業向けサービスの方が安定した需要が見込めるので有利といえます。

 

リースとレンタルの違いとは?           

部員:まあ、モノやサービスを貸し出す事業が好調ということが理解出来ました。キーワードとして前出した「価値あるモノとして所有」ということにも合致しますね。 しかし部長、企業向けというとレンタルよりもリースといった方が一般的だと思うのですが、違いはあるのでしょうか?

 

部長:一番の大きな違いは、リースは途中で解約出来ません(ノンキャンセラブル)。リースに関しては、リース事業だけでなく資金融資を行うケースが発生するので、リース事業者は実質、貸金業の登録を行う必要があります。企業がリースを利用するイメージが強いのは「ファイナンシャル・リース」という仕組みを利用しているからです。もし、企業がパソコンを100台買い替えたいとなった場合、一括で購入しなくてはいけません。しかし、ファイナンシャル・リースを利用すれば、実質リース会社から分割払いでパソコンを購入することが出来るようになります。この時にリース会社は手数料として金利を乗せるので貸金業の登録が必要となる訳です。リース料の総額がリース物件の価格以上(フルペイアウト)というのもリースとレンタルの違いです。

 

部員貸金業の登録となると中小企業にはハードルが高すぎますね。

 

部長:それと、オペレーティング・リースという節税手段もあるのでかんたんに紹介しておきます。オペレーティング・リースとは、ノンキャンセラブルかフルペイアウトのどちらか一方のみを条件とするものになります。航空機やタンカーを共同出資で購入し貸し出すのですが、事業終了まで8年〜12年かかります。一口が3千万円からと高額なのと、事業終了時期を自分で決めることが出来ませんのでタックスマネージメントが困難です。なお、2019年1月1日から国際会計基準IFRS)が変更になり、上場企業やIFRSを採用しているグローバル企業はこれを利用出来なくなりました。

 

部員:これも数千万円からと、少しハードルが高いですね。しかし、ノンキャンセラブルならリース満了まで、フルペイアウトなら出資額以上の収益が確定しているということですよね。

 

部長:以前は出資額を減価償却して数年に渡って節税することも出来たのですが、IFRSを採用してない企業だとしても会計処理に注意が必要と言われているのでオススメできないのが現状なのですよ。しかし、似たようなスキームを使った最新の節税としてレンタル事業が注目されております。

 

部員:すると、法人向けのレンタル事業ということですね。

 

法人向けのレンタル事業              

部長:そこで今回は、サーバレンタルと足場レンタルという2つの事業を紹介しながら検証してみようと思います。

 

部員:足場って、工事現場でビルを囲って組まれているアレですよね?

 

部長:そうですよ。工事現場の足場資材のレンタルです。オリンピックなどで建設ラッシュになると資材を調達しなくては建設会社も仕事になりませんから、レンタルで調達して対応します。そうなると、今度はいつも足場を貸し出しているレンタル会社から足場の在庫が無くなってしまいますよね?そこで、私たちが足場を購入してレンタル会社に貸し出すことで供給がまかなえるようにするという訳です。

 

部員:レンタル会社に対して足場をレンタルする事業という訳ですね。

 

部長:ハイ。そこで素晴らしいのは、これらのレンタル事業では即時償却といって投入資金が全額、今期で損益通算できるという点です。それに、貸し出し業務はレンタル会社が行ってくれるので人材も必要ありません。

 

部員:それは良いですね! ですが、質問があります。なぜ、全額が損益通算できるのですか?それに、建築資材って価値あるモノでは無いですよね?

 

全額が損益通算できる理由              

部長:足場資材は一つひとつが10万円未満なので少額減価償却資産ということで一括損金算入できます。一見、価値が無いようにみえても資材は使用出来る限りは資産として転売することが出来るからです。

 

部員:なるほど!これはスゴイですね。もう、節税方法は足場レンタルで決まりですね。あっ、でもサーバレンタルについてまだ話を聞いてなかったですね。

 

部長:サーバレンタルも同じレンタル事業になりますが、少し特徴が違います。今回も少し話が長くなってしまったので次回にしましょう。

 

部員:わかりました。では次回まで楽しみに待ってます。今回もありがとうございました!