税金!トレーニング部

このブログは税理士・会計士のための総合支援サイト「会計事務所の広場」の部活動として、中小企業の経営者さんを応援することを目的に、日頃から疑問に思っている「税金や節税」を中心に全十回にわたって紐解いていきたいと思います。 会計事務所の広場:https://kaikei-hiroba.com/

第八回 サーバ・レンタルで新たな事業収益? 最新版・法人節税で2020年決算を乗り切る!

部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

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部員:それでは前回に引き続き、レンタル事業の話題ですが、今回はサーバ・レンタルということでしたよね。

 

部長:はい。それでは商材となるサーバについて、おさらいしてみましょう。サーバは英語で 「Server」と書きます。直訳すると「提供する人」「仕える人」という意味です。つまりサーバとは「情報を提供する側のコンピュータ」のことを指します。

 

 

パソコンとのサーバの違いは何ですか?        

部員:具体的にパソコンとの違いは何ですか?今までは全然ちがう物だと思ってました。

 

部長:サーバは情報を提供する側の専用マシンであって、パソコンは「最終的に情報を受け取る側のマシン」です。したがって、サーバにはカラーディスプレイやスピーカー、カメラ、キーボードは付いていませんが、基本構造は同じです。メンテナンスなどで必要な時にはモニターやキーボードを接続することは出来るようになっています。

 

部員:そういえば、ウチの会社にもサーバがありますよ。夏場に熱がこもってサーバがダウンしちゃった時は、社内のインターネットが使えなくなって大変だったのを覚えてます。

 

部長:10年ほど前までは、どこの会社も自社内でITインフラを構築していたので、社内にサーバールームを設置していましたよね。アプリケーション・ソフトもDVDからインストールしていました。しかし、最近は、クラウド・サービスといってインターネット上でITインフラやソフトウエアを使いたい時に利用できるサービスが普及したことにより、ITインフラを構築する手間を大幅に削減できるようになりました。特にクラウドサービスによるアプリケーション・ソフトの利用は、かなり一般的になってきました。

出典:総務省https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/basic/service/13.html

 

部員:まさにITのシェアリングエコノミーですね。

 

 

アマゾンの「プロダクト・ライフサイクル」      

 

部長:以前に既存事業が好調であっても大企業は新たな分野に挑戦していくという「プロダクト・ライフサイクル」の話をしましたね。ネット通販で有名なアマゾンですが、実は最近の利益のほとんどはクラウド・サービスで稼いでいるのをご存じでしたか?第4四半期決算(2019年12月31日締め)での純利益は116億ドルで、そのうちの99億5千万ドルをクラウドサービスの純利益で占めています。アマゾンのほかに マイクロソフト、 グーグル といった大手により提供されているクラウド・サービスですが、首位を独走していたアマゾンも市場シェア40%から33%まで下げており、マイクロソフトはほぼ16%の横ばい、それ以下は一桁のシェア率となっており、まだまだ未成熟な成長市場と言えるでしょう。

出典:ZDNetJapanhttps://japan.zdnet.com/article/35148745/

出典:MM総研https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=354

 

部員:それではクラウド・サービスが普及したらサーバは、もう必要ないという訳ですか?

 

 サーバの種類                   

 

部長:社内には必要なくても、クラウド・サービスおよびその前後にもさまざまなサーバが存在しているんですよ。実は、サーバにも種類が色々ありまして、代表的なものだけでもファイルサーバ・プリントサーバ ・メールサーバ・Webサーバ ・ディレクトリサーバ(ActiveDirectory) ・DHCPサーバ・DNSサーバ ・データベースサーバがあり、各々が専門の働きをしているからこそ、快適なインターネット環境を利用することが出来ます。運送車両に例えるなら、コンクリートミキサー車、冷凍食品は冷凍車が運ぶようにサーバも用途によって各自が専用設計されているのです。

 

部員:なるほど。そういうことだったんですね。

 

部長:話を戻しますと、クラウド・サービスや5G、IoT、AI、ブロックチェーンの普及にともない、サーバの需要が世界中で急増している状況です。これは一過性の需要ではなく、以前から想定されていたことなのですが、それでも各企業の調達が間に合わない状況です。

 

部員:あー、足場のそれと同じ状況ですね。

 

需要が重要                    

部長:足場とは少し状況が異なります。ITネットワークに国境はありませんので、世界中がサーバを必要としています。日本全国の中小企業が節税のために投資したとしても、全世界の需要をまかなうことは出来ないでしょう。

 

部員:そう考えると需要って大事ですね。数年間に渡って事業を継続する訳ですから。

 

部長:そうですね。足場の場合ですと早くても5年後、長いと8年ですからね。サーバの場合はその反対で、年々新しいモデルが登場する為、古いモデルは年を追うごとに競争力も落ちていきます。 したがって、価値のあるうちに売却するとなれば最短で1年、最長で3年後に売却となります。

 

部員:サーバもセカンダリー・マーケットで売却出来るのですね。それならば、2025年とはいわずに、2023年頃までに資金を確保しておきたいのでサーバ・レンタルのほうが適しているように思えます。2〜3年後ならともかく、5年後の未来は想像つきませんから。

 

決算月に節税対策??               

部長:未来の想像がつかないとは業績についてですか?それならば、今期の決算月にサーバレンタルを開始するというのはどうでしょう。もし、来期の決算月に赤字が確定しそうな場合は、サーバを売却すれば、その赤字を補填することが出来ますよ。仮に来期の決算月になって、それほど利益がなかった場合はそのまま据え置きでレンタルを継続、来期も黒字になった場合はサーバを買い増しすればOKです。

 

部員:決算月に大きな買い物をしたらマズイんじゃないんですか?税務署から指摘されますよ。

 

部長:その点については問題ありません。新規の事業投資として健全な出費として税務処理出来ますから安心して下さい。

 

部員:それは良かった!じつは今期までは黒字続きでしたが、来期は少し不安なんです。オリンピックが終了してしまいますからね。それに、新型コロナウイルスの影響はすでに売上に反映されてきましたし、オリンピックの集客にも影響を与えることはほぼ間違えないでしょうからね。取引先の業績が悪化してウチの会社も連鎖的に赤字になる可能性が大きいです。

 

部長:それなら、安心です。サーバは新型コロナウイルスで肺炎になったりしませんから。ほっといても勝手に働いてくれてますよー。  、、、、と、まあ、冗談はさておき「新規事業へ投資は真の分散投資である」と言われております。たとえリーマンショックのような世界的大暴落が起きたとしても、事業は実業であれば、それほど被害を受けることはありません。それは、実需に対して運営されているからであって、株やFXなどの金融ではないからです。

 

部員:そうですよね。今期に納税するはずだった予算で新規事業をはじめれば、必然的に節税となり、来期からタックスマネージメントが行えるという訳ですね。部長、今回もとても勉強になりました。次回もまた、宜しくお願いします。

 

 

 

第七回 最近流行りのシェアリングエコノミーとは?リース?レンタル?法人節税が出来るモノってなに?

部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

 

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最近流行りのシェアリングエコノミーとは?    

部長:さて、今回は新規事業として「レンタル事業」についての検証ですね。一般的にレンタル事業というと、どのようなレンタルを連想しますか?

 

部員:レンタルといえば、やっぱりビデオですかね。あとはレンタカー、レンタル衣装などが一般的ですかね。

 

部長:そうですね、レンタル事業は今までも色々ありましたが、最近はシェアリングエコノミーといって場所・乗り物・モノ・人などインターネットを介して共有し、 それぞれが利用したい時間に借りることができるサービスが活発です。民泊のエアービーアンドビー、アジアで有名なライド・シェアのグラブ、アルバイト・シェアのウーバーイーツ、コワーキングのウィーワークなどが有名です。そもそもシェアリングという表現をしていないサービスやレンタルという表現のほうが浸透しているので実際に「レンタル」という言葉で展開しているシェアリングサービスもたくさん存在します。

出典:経済産業省https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/joho_keizai/bunsan_senryaku/pdf/004_04_00.pdf

 

部長:動画サービスのネットフリックスやフィットネスクラブのエニタイム・フィットネスのように「定額制」でサービスを提供するモデルは「サブスクリプション・モデル」と呼ばれています。

出典:大和総研https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20190425_020768.html

 

部員:なるほど、レンタル事業がモノだけでなくサービスや人、乗り物にまで派生し、空いている時間をうまく使うことで収益を出す事業に多様化していってるのですね。

 

部長:しかし、シェアリングエコノミーは確かに好評なのですが、特有のトラブルも報告されています。理由は、利用者が使い終わった後にルールを守らない場合、次の利用者に直接被害が被ることになります。例えばカーシェアリングの場合、前の利用者が予定時間にクルマを返却してないので使うことが出来ない、社内が汚れたままだった、禁煙車なのにタバコのニオイがするといった感じです。

 

部員:予約してるのに使えなかったりしたら困っちゃいますね。特に仕事中に利用しようとかは思えないですね。

 

部長:そこなんですよね。シェアリングエコノミーは便利なのですが、個人利用者が多いので立地によっては利用時間帯が集中すると、顧客の利便性が低下し収益も悪くなります。収益を安定させるには企業向けサービスの方が安定した需要が見込めるので有利といえます。

 

リースとレンタルの違いとは?           

部員:まあ、モノやサービスを貸し出す事業が好調ということが理解出来ました。キーワードとして前出した「価値あるモノとして所有」ということにも合致しますね。 しかし部長、企業向けというとレンタルよりもリースといった方が一般的だと思うのですが、違いはあるのでしょうか?

 

部長:一番の大きな違いは、リースは途中で解約出来ません(ノンキャンセラブル)。リースに関しては、リース事業だけでなく資金融資を行うケースが発生するので、リース事業者は実質、貸金業の登録を行う必要があります。企業がリースを利用するイメージが強いのは「ファイナンシャル・リース」という仕組みを利用しているからです。もし、企業がパソコンを100台買い替えたいとなった場合、一括で購入しなくてはいけません。しかし、ファイナンシャル・リースを利用すれば、実質リース会社から分割払いでパソコンを購入することが出来るようになります。この時にリース会社は手数料として金利を乗せるので貸金業の登録が必要となる訳です。リース料の総額がリース物件の価格以上(フルペイアウト)というのもリースとレンタルの違いです。

 

部員貸金業の登録となると中小企業にはハードルが高すぎますね。

 

部長:それと、オペレーティング・リースという節税手段もあるのでかんたんに紹介しておきます。オペレーティング・リースとは、ノンキャンセラブルかフルペイアウトのどちらか一方のみを条件とするものになります。航空機やタンカーを共同出資で購入し貸し出すのですが、事業終了まで8年〜12年かかります。一口が3千万円からと高額なのと、事業終了時期を自分で決めることが出来ませんのでタックスマネージメントが困難です。なお、2019年1月1日から国際会計基準IFRS)が変更になり、上場企業やIFRSを採用しているグローバル企業はこれを利用出来なくなりました。

 

部員:これも数千万円からと、少しハードルが高いですね。しかし、ノンキャンセラブルならリース満了まで、フルペイアウトなら出資額以上の収益が確定しているということですよね。

 

部長:以前は出資額を減価償却して数年に渡って節税することも出来たのですが、IFRSを採用してない企業だとしても会計処理に注意が必要と言われているのでオススメできないのが現状なのですよ。しかし、似たようなスキームを使った最新の節税としてレンタル事業が注目されております。

 

部員:すると、法人向けのレンタル事業ということですね。

 

法人向けのレンタル事業              

部長:そこで今回は、サーバレンタルと足場レンタルという2つの事業を紹介しながら検証してみようと思います。

 

部員:足場って、工事現場でビルを囲って組まれているアレですよね?

 

部長:そうですよ。工事現場の足場資材のレンタルです。オリンピックなどで建設ラッシュになると資材を調達しなくては建設会社も仕事になりませんから、レンタルで調達して対応します。そうなると、今度はいつも足場を貸し出しているレンタル会社から足場の在庫が無くなってしまいますよね?そこで、私たちが足場を購入してレンタル会社に貸し出すことで供給がまかなえるようにするという訳です。

 

部員:レンタル会社に対して足場をレンタルする事業という訳ですね。

 

部長:ハイ。そこで素晴らしいのは、これらのレンタル事業では即時償却といって投入資金が全額、今期で損益通算できるという点です。それに、貸し出し業務はレンタル会社が行ってくれるので人材も必要ありません。

 

部員:それは良いですね! ですが、質問があります。なぜ、全額が損益通算できるのですか?それに、建築資材って価値あるモノでは無いですよね?

 

全額が損益通算できる理由              

部長:足場資材は一つひとつが10万円未満なので少額減価償却資産ということで一括損金算入できます。一見、価値が無いようにみえても資材は使用出来る限りは資産として転売することが出来るからです。

 

部員:なるほど!これはスゴイですね。もう、節税方法は足場レンタルで決まりですね。あっ、でもサーバレンタルについてまだ話を聞いてなかったですね。

 

部長:サーバレンタルも同じレンタル事業になりますが、少し特徴が違います。今回も少し話が長くなってしまったので次回にしましょう。

 

部員:わかりました。では次回まで楽しみに待ってます。今回もありがとうございました!

 

第六回 噂になってる「無人経営で手間いらず」な、あの節税方法を徹底検証!

部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

 

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部長:前回までのおさらいの中で

「価値あるモノとして所有」

「タックスマネージメント」 

「損益通算」

というキーワードがピックアップされ、損益通算が出来る新たな事業を立ち上げましょうということでしたね。

 

部員:ええ。でも、人材や管理する手間がかかるので簡単には出来ませんよね?

 

部長:そうですね。不動産の話の中でも出てきましたね。不動産を買うことは出来るけど、空室リスクがあり、人材と手間がかかって利益を出せる見込みが少ないということでしたね。

それならば、人材と手間がかからなくて収益リスクの少ないビジネスを始めれば良いのです!

 

部員:そうやって簡単に言いますがね、カラダ動かして稼ぐことしか知らないので手間がかからない新規事業と言われてもちょっと困っちゃいますね。どうすれば良いのでしょうか?

 

部長:ではまず、なぜ?大企業が積極的に新規事業に取り組んでいるのかを紐解いてみましょう。どんなに優れた製品やサービスであっても「プロダクト・ライフサイクル」といって、いずれは衰退し消えていくという一連のプロセスのことです。どのような業界も成長は鈍化していき、衰退していくことは避けられません。そのため、既存事業が好調であっても大企業は新たな分野に挑戦していくのです。例えばトヨタ自動車の前身は豊田紡織という紡績業でした。

 

部員トヨタ自動車も新規事業が発端なんですね!積極的に新規事業をヤル気になりましたよ!!

 

部長:新規事業に取り組むと、色々と費用がかかります。それらの経費と既存事業の収益が損益通算により相殺され、法人税の課税対象となる所得が低く抑えられるという仕組みなのですが、問題は人材と、手間ですよね。それでは最近、新規事業として人気のコインランドリーを例として検証していきましょう。

 

部員:コインランドリーといえば「無人経営」ですね。そういえば最近、おしゃれなコインランドリーが増えてきたような気がします。

 

部長:コインランドリーといえばまずは、洗濯機と乾燥機ですね。これらの機材は2021年3月31日までは中小企業強化税制を利用することで投資額の初年度で60〜70%の即時償却、以降4年間に渡って減価償却が行えます。

 

部員:あとは、店舗家賃と内装費用がかかりますね。営業するとなると、水道光熱費とオープンの広告費用も必要ですね。その他に何か費用は発生しますか?

 

部長:いま、コインランドリー経営が流行している背景にはフランチャイズとして立地の斡旋、店舗の清掃、現金回収、売上管理、クレーム対応など、全てを請け負ってくれる会社があるんです。

 

部員:それはラクで良いですね。自宅や会社から遠くても安心して経営できますね。

 

部長:そうですね。メリットは沢山あります。節税として税金を支払う代わりにコインランドリーに事業投資すれば毎月、新たな売上を得ることが出来ます。しかも、手間がかかりませんから、既存事業に影響が出ません。

 

部員:ちなみに初期投資はいくら位かかるんでしょうか?

 

部長:初年度で3000万〜4000万円、フランチャイズ加盟料で100万円および月々の管理費ですね。

 

部員:不動産投資とあまり変わらない金額ですね。それに不動産ならある程度の収益が計算出来ますが顧客相手の商売をやったことないので不安だなあ。損益通算出来ても不採算事業を抱え込むとなれば本末転倒ですからね。素朴なギモンですけど。コインランドリーって儲かるんですか?

 

部長:私もコインランドリーを経営したことがないのでわかりませんが、実際にコインランドリーを運営しているフランチャイズ本部によればたくさんの実績があるのでご安心下さいということでした。

現在は布団やスニーカーもコインランドリーで洗えるので、新しい需要を掴むことが出来れば4〜5年で収益がプラスになってくるということでした。洗濯物は容量が大きいのでクルマで利用できるロードサイド型の店舗がメインになりますが立地によって顧客層はバラバラで、都心型の店舗には飲食店のスタッフがテーブルクロスやナプキンを毎日洗濯しにくるそうです。

 

部員:何かデメリットは無いのですか?

 

部長:デメリットはメリットと同じく「無人」ということでしょうか。2019年8月以降、東京、千葉、埼玉、神奈川の各県で立て続けに強盗被害が発生致しました。電動工具とバールによる精算機や両替機をこじ開けるという手口で、精算機内の売上金、両替機内の両替金の他に機械代などを合わせた被害総額は2億円以上にのぼったそうです。

 

部員:狙われたら大変ですね。損害保険と防犯設備の追加投資も検討しなければいけませんね。

 

部長:その他に、建造物の破壊、洗濯物の盗難や深夜に中高生がたむろする等、無人であるがゆえに発生する事件がほとんどです。

 

部員:部長、何か他に安心できる新規事業は無いんですか?事件現場になりそうだし、儲けがプラスになるまで4〜5年かかるなんて嫌です。無人とはいえ、店舗を所有するわけですから、不動産以上に手離れが悪そうなのが嫌ですね。

 

部長:そうですか。結構流行っているんですけどね。コインランドリービジネスは。どんな事業でもビジネスにはリスクを伴います。コインランドリーは実績があるので無難なビジネスですよ。

 

部員:もし、赤字続きだったとしたら事業精算するのも大変だし、損害が大きすぎます。

 

部長:そうですか。それではかなり特殊なのですが、レンタル業というのはいかがですか?

 

部員無人で出来るレンタル事業があるのですか?是非、話を聞かせて下さい。

 

部長:それでは次回、レンタル事業について解説したいと思います。

 

部員:それでは、次回もよろしくお願いします。

 

 

 

 

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第五回 節税型保険に代わる方法とは一体何か? なぜ中小企業が節税しなければならないのか?のまとめ

部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

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部員:いやー、どうしたら良いでしょうか。不動産や保険で節税出来ないとなると中小企業が節税するのは難しいのでしょうか?

 

部長:確かにこれまでは保険を利用することで簡単に節税出来ておりましたが、今期からは中小企業が節税するのは簡単では無いかもしれません。それに、中小企業のオーナー社長さん達が税制を学んだり相談する機会はとても少ないですよね。ですから、この「税金トレーニング部」で税金に対する見解を深めてもらいたいと思っています。

 

部員:確かに。部長にはこれまでも税金以外にも色々と学ばさせてもらいました。では、今回は保険に代わる節税方法を教えていただけるのでしょうか?

 

部長:保険に代わる節税方法ついてはですね、実はこれまでの部活動ですでに学んでいるのですが、覚えてませんか?

 

部員:えっ!気づかないうちに私にも節税が出来るようになっていたとは、、、映画やマンガのようなストーリー展開ですねぇ。 ピンチになると勝手に変身しちゃうとか?

 

部長:それも面白いですね!ですが、決算月にピンチになるまで待っていられないのでもう一度復習してみましょう。

 

部員:そうしてもらえますか。ピンチになっても変身できる自信がありませんので。

 

部長:そうしましょう。ではまず、「なぜ中小企業が節税しなければならないのか?」については覚えていますか?

 

部員:はい。今後、 「第四次産業革命」によってデジタル技術が急速に発展していくことによって世界のあらゆる環境が「IT化」されていくので、淘汰されないように社内システムをDX(デジタルトランスフォーメーション)させるための資金調達方法でしたよね。それに後継者問題やDX出来ないで衰退していく競合企業や関連企業のM&A資金としてまとまった資本が必要になるという事でしたね。

出典:日立製作所プロジェクト事例https://social-innovation.hitachi/ja-jp/case_studies

 

部長:そうでしたよね。銀行から融資が受けられたとしてもタイミングが合わなかったり、全額融資が受けられるとは限りませんから。それに大企業が納税率をとても低く抑えているので大企業の事例から節税テクニックを学びましょうということでしたね。大企業は、節税して事業投資やM&Aを繰り返してさらに資産形成しているという良好なスパイラルを構築していますから。

 

部員:あと、物価上昇率のことも考慮しなければいけないので、現金でなく価値あるモノに変えて所有する必要があるということでしたね。価値あるモノは売却時に売却益が発生するので納税のタイミングも自在だから「タックスマネージメント」であって脱税では無いと教わりました。

 

部長:そうですね。それで投資や資産、節税といえば「不動産」ということで不動産による中小企業の節税を検証しましたね。

 

部員:ハイ。これまでの不動産とイメージがだいぶ変わりましたが、「損益通算」を学ぶことが出来ました。資産として不動産を所有することは銀行に対してのイメージが良くなるとは思うのですが、今後の少子化や超高齢社会、空室問題なども深刻化していることも考えると自宅以外の不動産を所有するのはちょっとコワイですよね。

出典:全国の賃貸用住宅空室率一覧https://toushi.homes.co.jp/owner/

 

部員:あと、他には保険で節税出来なくなっちゃったけど、古いパソコン使うとキケンだということでしたね。サイバー保険も検討したほうが良いって。

 

部長:そうですね。第四次産業革命といわるほど数年で世の中が劇的に変化していきます。インターネットやスマートフォンがいつの間にか生活に溶け込んできたように、インターネットの次の時代がもうすぐそこまでやって来てますから。サイバー保険に加入しなくても、検討するだけでどのようなリスクが想定されているのかを学ぶことが出来るので良いと思いますよ。

 

部員:部長!これまで習ったことをおさらいしてみましたが、ちっとも解りません。どこが部活で身についた節税なんでしょうか?

 

部長:ちょっとココにキーワードを書き出してみたのですが、、

「価値あるモノとして所有」 「タックスマネージメント」 「損益通算」

これらの融合でしっかりと節税が行なえます!

 

部員:キッパリと言い切りましたね、部長。

 

部長:はい!では、不動産以外に損益通算出来る所得を覚えていますか?

 

部員:えーっと、不動産のほかには山林と農業と事業でしたっけ?

 

部長:ブー!正解は、以下の4つです。

不「不動産」

事「事業」

山「山林」

譲「譲渡」

頭文字をとって富士山上「フジサンジョウ」と覚えます。しかし、これら所得でも損益通算出来ないものがいくつか存在します。不動産所得が赤字だった場合は、土地取得の借り入れの利息だけは(建物は含まない)経費計上出来なかったり、別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付け、土地や建物、株、貴金属や骨董品などの売却損も損益通算出来ません。

出典:国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm

 

部員:土地はともかく、建物って売却する時は価値が下がりますよね。特にマンションの価格なんてほとんど建物代じゃないですか!やはり不動産で節税や投資は考えない方が良いですね。

 

部長:そうですね。事業として不動産業を営むのであれば別ですが、中小企業には難しいということでしたよね。事業所得とは事業で得た収入から必要経費を差し引いたもので、山林所得とは山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。これらの所得であれば既存事業と損益通算出来るということになります。不動産は難しい、譲渡する資産は無い、山林は現実的でないとなれば、残るのは、、

 

部員:事業ということに、、なりますかね。 部長は、もしかして、中小企業にもう一つ事業をしろとおっしゃってるのですか?不動産以外の事業だって、人材や管理する手間は同じですよ?

 

部長:ハイ。そのとおりです。ようやく覚醒してきたようですね。ですが、今回は話が長くなってしまったので続きは次回に話しましょう。

 

部員:ああ、本当にテレビやマンガのようになってきましたね。次回へ続く、ですね。

 

部長:TO BE CONTINUE.  ではまた次回お会いしましょう。

 

 

 

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第四回 2020年版、法人節税に使える最新の保険とは?バレンタイン・ショックから学ぶ保険に関するお話

部長:毎度皆様、アクセスいただきありがとうございます!

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部長:さて、前回は不動産について学んだので、今回は「保険」について学習していきましょう。

 

部員:部長、実は私も近いうちに保険のことで相談したいと思っていたんです。

 

部長:相談というのは、保険で節税しようと思ったら保険屋さんから以前と同じ保険への加入は出来ませんと言われたので、今期はどうしようか悩んでいるのですね?!

 

部員:図星です!でも、なぜそれを知っているのですか?

 

部長:それはですね、通称「バレンタイン・ショック」といって突如、金融庁が2019年2月13日に各保険会社に対して通達を出したことによって、各社が翌日の14日バレンタインデーから法人向け節税型保険の販売中止を発表したんですよ。あまりに突然のことだったので、保険業界にとっては、とても大きなニュースになりました。

 

部員:それって、保険料が経費として計上出来なくなっちゃったとか?

 

部長:半分正解のようなものですかね。金融庁いわく、解約時に返戻金として80%以上の金額が戻ってくるという契約内容ならその保険商品は、積立金とみなして「資産」であると解釈するのが妥当ということです。したがって今までのような、年間数百万円の保険料を経費として計上しているのに、10数年後には支払総額の90%近くを解約返戻金として受け取ることが出来るのは矛盾してませんか?と国税庁が指摘したということなんですね。

 

部員:経費で計上するのか、80%以上の解約返戻金を受け取るのか?どちらかにしなさいよ、ということですね。だから、半分正解かあ。 あれ?そういえば金融庁国税庁、2つ登場してきましたね。今回の件の監督省庁はどちらなんですか?

 

部長:この状況に至った理由はそこなんですよ。まず最初に、このような仕組みの保険商品を売っても良いですよ!と許認可を出したのは金融庁なんです。金融庁は銀行や証券会社、保険会社などを監督する立場なのでマイナス金利が続く中、どうにか金融業界を援護しなくてはいけない。しかし、それに甘んじた各保険会社が予想以上にこの商品を売りすぎてしまった結果、日本全国で節税型保険による節税を行う企業が続出してしまいました。そうなると今度、困るのは税金を徴収しなければいけない国税庁です。いままでの予定通りに税金を徴収出来なくなってしまったという訳で、このような自体に陥ったということのようです。

出典:朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASM2Q7GNTM2QULFA03P.html

 

部長:ちなみに金融庁内閣府の外局で、国税庁財務省の外局なのでウラでは色々とあったと思いますよ。立場上は内閣府の方が上ではありますが、予算を握っているのが財務省ですし、お互いの外局同士というのもポイントですね。

 

部員:それはもう、どっちの言い分が通るかなんて明白ですね!ウチもタテマエではお父さんを持ち上げてくれはいますが、実権はおサイフを握っているお母さんの圧勝ですよ。お母さんが怒ったら後々大変ですしね。子どもたちがケンカしても、お母さんの判断でどっちが悪いのか決まってしまいますから!

 

部長:。。物凄いミクロ的な例え方ですが、、案外当たっているかもしれませんねぇ、、、、

 

部員:大きくても小さくても組織ですからね。ウチの会社でも誰も経理部長にアタマが上がらないですからね。それより、部長。もう企業は保険に加入しないほうが良いのでしょうか?

 

部長:そのようなことは決してありません。今までに加入した保険には影響が及ばないので解約する必要もないですし、将来起こるかもしれないリスクに対して保険に加入するというのは至極当然だと思っております。それに、保険って生命保険や損害保険だけではないのはご存知ですか?

 

部員:いえ、まったく思い浮かびません。企業が法人税の節税になる保険が他にあるとでもいうのでしょうか?

 

部長:それがあるんですよ。みなさんが気づいているけど、保険に加入してない、とても重要な保険が。

 

部員:なぞなぞですか?そんなのはイイですから早く教えて下さい。

 

部長:答えはズバリ!パソコンのセキュリティです。2020年1月14日でマイクロソフトによるWindows7のサポートが終了になりました。Windows7はOSというソフトウエアなので、リリース後に発見された不具合やセキュリティ上の問題点をインターネットに接続することでサポートを自動更新していたのですが、そのサービス期間が終了になったということです。更新プログラムが無くなると、ウイルスやハッキング行為から無防備になります。

 

部員:犯罪者の視点から見れば、格好のターゲットになってしまいますね。

 

部長:そのとおりです。ウイルス開発やハッキング技術も日々進歩していく訳ですからマイクロソフトも日々サポートしてくれていた訳です。パソコン自体も日々、進化しているのでWindows7を更新するより、Windows10搭載の新しいパソコンを購入されることをオススメいたしますよ。

 

部員:ウチの会社では経理処理しているパソコンがWindows7より古いWindows XPなのですが、インターネットに接続していないので外部からのハッキングやウイルス感染といったセキュリティ上の心配は無いと思っています。

 

部長:インターネットに接続していなければ外部からアクセス出来ないだろうと思いがちですが、そのようなパソコンが実は一番危険なんです。インターネット接続されていないということは、今までも更新サポートを受けていないということです。それに、最近のハッカーUSBメモリーにウイルスを感染させてデータを盗みます。インターネットに接続してないパソコンにUSBメモリーを挿す人物が特定できれば、その人が普段使用するパソコンにウイルス感染させてUSBメモリー経由で経理のパソコンに侵入してきます。

出典:JBpress https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58712

 

部員:わかりました。とっくに減価償却も終わっているので、パソコンはすぐに買い替えます。最近でも大手企業からの情報流出騒ぎがニュースになってますしね。ウチの会社にも個人情報の他に大手企業や官公庁との取引記録がありますから情報が流出したら大変です!

 

部長:それが良いと思います。サイバー保険というのもありますから、そういった保険も前向きに検討してみると良いでしょう。東京オリンピックパラリンピックを控え、国内企業へのサイバー攻撃が急増しているようですよ。特に、サイバーセキュリティ対策が進んでいない中小企業がサプライチェーン攻撃により狙われているようです。 

出典:日本損害保険協会https://www.sonpo.or.jp/news/release/2019/2001_02.html

 

部員:いやー、保険を通して節税などを考察した結果、思ってもいない課題に当たってビックリしています。サイバー攻撃の対策は他の経営課題より優先度が低く、それほど重要だとは思ってもいませんでした。2025年までに社内システムをデジタル化すれば良いと思っていましたが、そんな悠長なこと言ってられないですね。

 

部長:そのとおりです。今期の決算でしっかりと節税してDX資金を担保して下さいね。

参照:(第一回、税金トレーニング部:中小企業の経営者さん必見!大企業に見習う節税と2025年問題のまとめ

 

部員:はい。サイバー犯罪は連鎖的に攻撃されるようなので、この情報は取引先とも共有したいと思います。部長、今回も解説していただきありがとうございました。次回も宜しくお願いします。

 

 

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第三回 2020年に中小企業は不動産投資で節税出来るのか?!検証してみました

 部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

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部長:前回は投資が節税にもなるということを学びましたが、今回は投資の王道と言われている「不動産」について検証してみたいと思います。

 

部員:不動産といっても様々な用途がありますよね。戸建住宅、マンション、店舗や事業用地、どんな物件でも良いのでしょうか?

 

部長:会社が法人税の軽減に不動産を利用するのであれば、それなりの条件が必要になってきますよね。事業と全く関係なければ経費にはなりませんから。

 

部員:そうか!経費として計上出来ることが条件ですよね。事業用地とか店舗とか、あとは社宅などですね。そう考えると意外と限られてきますねぇ。

 

部長:そうなんです。実は投資や節税の王道のように考えられている不動産ですが、法人が投資や節税に利用する目的にマッチする物件は意外と面倒なことが多くなります。まずは物件の購入額ですが、そんなにまとまった資金があったとしたら、もしくはまとまった融資を受けれるとしたら事業投資や後継者問題を抱えている関係会社を友好的M&Aで救済してあげようとか考えますよね。

 

部員:そうですよね。それを目標に節税を学習しているわけですから。でも、なぜ不動産が節税や投資の王道のように思われているのでしょうか?

 

部長:それはとても良い疑問ですね。そもそも不動産を持っていれば安泰と考えられていたのは前時代的な思考で、「大地主=資産家=事業主」という形式が一般的だったので企業がたくさん不動産を所有しているイメージが定着したのでしょう。

それに対し現在は、「投資家=株主」によって「経営のスペシャリスト」が任命され、収益を還元するようになりましたから。大企業でも経営スタイルによってIT関連やサービスといった業種では不動産をほとんど保有してない企業もあります。

 

部員:あー、なるほど。言われてみると、老舗の大企業は不動産関連の部署を設けていますよね。

 

部長:はい。大企業は事業所の数も多く、所有している不動産の資産規模も大きいです。専門知識のある専任者や管理、警備部門も必要ですが、不動産事業だけで収益を出しています。それだけではなく、不動産は「損益通算」として「課税される所得を減らす」ために重宝されています。

 

損益通算を学ぼう

部員:また新しいキーワードが出てきましたね部長。「そんえきつーさん」の説明をお願いします。

 

部長:「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」で生じた黒字と赤字を合算し、相殺することを「損益通算」と言います。つまり、不動産は本業と合算して最終収益を調整して所得税を下げることが出来るんです。

 

部員:そんなカラクリがあったんですね。でも中小企業には数千万円の不動産をいくつか所有することは出来るかもしれませんが、別事業としての管理したり専任者を雇うのが難しいですね。

それならば、管理会社に預けてしまうのはどうでしょうか?

 

部長:着目が良いですね。でも、実は、それが不動産屋さんが用意している罠なんですよ。

 

部員:えっ!ワナにハマりそうだったんですか?良いアイディアだと思ったのに。

 

部長:はい。不動産の広告でよく、「表面利回り」という言い回しを使っていることに気づきませんでしたか?

 

部員:そういえば何でそんな書き方しているのだろうと不思議に思っていたんです。

 

表面利回りとは?

部長:表面利回りとは、年間の満室想定の家賃収入を物件価格で割った数値です。

表面利回り=【年間の満室想定の家賃収入】÷【物件価格】×100%=○○%

部長:表面利回り10%って、一見、とても収益が上がりそうな物件に見えますが、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、修繕費用などが含まれておりません。ちなみに物件管理を委託する場合、家賃の5%が相場となっています。

 

部員:じゃあ、管理費自体は入居者からもらうとしても、物件を管理会社に預けた場合、残りの5%から修繕積立金、固定資産税、都市計画税、修繕費用などが引かれたら利益がなくなっちゃうじゃないですか!

 

部長:それだけではありません。空室リスクもあります。入居者が退去した場合、部屋をクリーニングして次の入居者が決まるまで仮に1ヶ月空いたとしたら一ヶ月分の家賃が入らないので、その年度は赤字決定です。それ以外にも想定家賃は現在の家賃相場であって、不動産屋さんが高めに設定しているかもしれませんし、10年後に同じ家賃設定で入居してもらえる保証もありません。売却するにしても金額が大きいので時間がかかりますし、購入金額を上回るケースは非常に稀です。購入した物件が住宅でなくても、不動産物件には常に同じようなリスクが付きまといます。

 

部員:そうなんですね。法人の節税に向かなくても、富裕層が海外の不動産で節税していると聞いたことがありますが、どうなんでしょうか?

 

部長:海外不動産が強力な節税になるとして富裕層の間で人気でしたが、改正がありまして令和3年以降の申告から減価償却分は他の所得と損益通算出来なくなりました。つまり、2018年以降に購入した物件は、全額経費にならないということになります。

出典:令和2年度税制改革大網https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/140786_1.pdf?_ga=2.41436706.1805248028.1579857686-106295652.1579857686

 

部長:海外不動産の他に、タワーマンションを利用した相続税の節税というのもありましたが改正によって、これもほとんどメリットが無くなりました。たとえ相続税が1000万円節税出来たとしてもその物件がいつ相続されるかわかりませんから、売却のタイミングによっては売却益がマイナスとなってトータルで3000万円の赤字になったりするケースが多々見受けられます。

 

部員:相続のタイミングですか、、、。そうですね。ウチのジイさんもすごく元気で困ってますw

 

部長:相続後1年以内に物件を売却して、否認されたケースが確認されているようなので、タワーマンションによる節税はオススメしませんね。

 

部員:わかりました。不動産取得による法人での節税は考えないようにします。これまでの不動産によるイメージがだいぶ変わりました。

 

部長:そうですね。社会のトレンドや新技術といった時代の流れが昔と比べると、とても早くなっています。大きくて動かしづらい資産は今の時代にはマッチしないのではないでしょうか。

 

部員:はい。今回は損益通算を学べたのが良かったです。次回も宜しくお願いします!

 

 

 

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第二回 中小企業の経営者さん必見!顧問税理士さんから節税を提案してもらう方法(タックスマネージメントのお話)

部長:今回も皆様、アクセスいただきありがとうございます!

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部員:部長!先日、顧問税理士さんに節税したいことを相談したのですが、そのことでちょっと相談があるんですけど。

 

部長:ん?どうしましたか?相談の相談とは厄介この上ないですが、一応、話を聞きましょう。

 

部員:実は顧問税理士さんいわく「納税は国民の三大義務」だということで、節税に関してはかなり消極的な見解だったんです。

 

部長:それは仕方の無い話なんですよ。税理士さんの立場は、納税する義務がある人(企業や個人)の納税義務を適正に実現することであって、節税のアドバイスをしてしまうと使命を達成出来なくなってしまう可能性があるだけでなく、それが脱税と判断された場合は懲戒処分などの厳しい処置が下されることになってるからなんです。

出典:国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/seido2.htm#a-1

 

部員:部長、やっぱり節税って税理士さんが嫌がるくらいだからホントは悪いことなんですか?

 

部長:いいえ、節税は租税回避や脱税とはまったく違います。決して悪いことではありません。

節税とは「控除」や「特例」、「納税の繰り延べ」といった「納税義務の適正な範囲内の管理」ということになります。特に納税の繰り延べは納税するタイミングや総額を自分で調整することになるので「タックスマネージメント」と表現されたりしています。

 

部長:ですので顧問税理士さんに、「控除や特例をフル活用したいです!と伝えれば快く引き受けてもらえると思いますよ。税制は難しいから、、、と敬遠するよりは勉強してくれる経営者さんのほうが顧問税理士さんもきっと喜ぶはずです。

出典:中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/pamphlet/2017/170626zeisei.pdf

 

部員:はい!良い機会なので税制をしっかり学習したいと思います。

 

部長:会社には法人事業税のほかに法人住民税もかかります。去年の消費税の増税に伴い、法人住民税も改正があったのをご存知ですか?まずは現状で、自分の会社にどのような税金がかかってくるのかきちんと把握することから始めましょう。そのうえで使える税制処置があるのかどうか?顧問の税理士さんに相談してみて下さい。

 

部員:えー!世間様は消費税の増税で慌ててるっていうのに、その影で法人住民税も増税とは!!年末に芸能人が離婚発表するようなやり口ですね。

 

部長:それだけではないのですよ。会社の金庫に入れておいた現金や銀行に預けてある預金はほっとくだけでどんどんお金の価値が下がっていってるんです。ほら、今こうやっている時間にも。

 

部員:部長、一体何をいってるんですか?お金の価値が下がる訳ないじゃないですか!一万円札は今日も明日もずーっと一万円ですよ。

 

部長:どういうことかと申しますと、世界中の政府や中央銀行は自国の物価を安定させるために物価上昇率をコントロールしていて、日本においてはデフレを避けるために物価上昇の目標を2%に設定しています。

つまり、去年は100万円の価値だったモノが今年は102万円、来年は104万400円と同等の価値になるようにしていきますよということです。

定期預金で銀行に100万円を預けておいても年利0.2%で2千円にしかなりません。

しかもその2千円から税金も引かれます。

消費税5%から8%になったのが2014年3月31日なので、その頃から100万円を銀行に預けておいたとしたら年利0.2%で101万2062円ですが実質、消費税は5%上昇して物価も毎年2%上昇しています。

2014年の年初に105万円(税込み)で購入できたモノは、

2020年には123万8778円になっていたという計算です。

差額は18万8,778円なので18.8%の上昇ですね。

 

部員:うわー、現金の方が安心だと思ってたから銀行に預金してたのに〜。既存システムのデジタル対応や、取引先のM&Aの費用捻出が遠のくばかりです、、

 

部長:黙っていても毎年2%は物価が上昇していくので、現金には2%以上の利益を出す働きをしてもらわないといけませんね。消費税も上がったので本来は4%以上の年利を出してほしいですね。

 

部員:そんなに年利が高いものってファンド商品とかでしょうか?

 

部長:ファンドも悪くはないですが、金利を保証してくれているわけではないですし、結構手数料も高いので、実質利益が出せるかどうか予測しづらいんですよね。こういう時に大企業は何をしているのかというと、事業投資やM&Aなんです。

 

部員:部長!ですから、事業投資やM&Aの資金がないので節税して調達しようとしてるんですよ。

 

部長:そうそう、大企業も事業投資やM&Aをして節税しているのです。

 

部員:どういうことでしょうか?しっかり説明してくださいよ。

 

部長:大企業は会計のテクニックを使って節税しているのです。その手段が事業投資やM&Aという訳なのです。事業投資やM&Aにかかった費用を損益として計上することで、課税対象となる当期の純利益が少なくなれば納税額および納税率が下がるという仕組みです。

 

部員:儲けた分の利益で価値あるモノを買っておけば、全体の価値は変わらないけど純利益が少なくなるから納税額も少なくなるということですね。

 

部長:そういうことです。しかし、価値ある別のモノを所有している訳ですから、それを売却した時には売却益が発生しますので、その時点で課税されることになります。

 

部員:あー、だから納税の繰り延べということなんですね。そして納税のタイミングも自在だからタックスマネージメントなのかあ。今回もまた勉強になりました!部長。

 

部長:それは良かったですね。はい、次回は節税の王道?不動産について勉強しましょう。

 

部員:はい、次回も楽しみです!

 

 

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第一回 中小企業の経営者さん必見!大企業に見習う節税と2025年問題のまとめ

今週のお題「応援」

 

部長:まずは皆様、アクセスいただきありがとうございます!

このブログは税理士・会計士のための総合支援サイト「会計事務所の広場」の部活動として、中小企業の経営者さんを応援することを目的に、日頃から疑問に思っている「税金や節税」を中心に全十回にわたって紐解いていきたいと思います。

会計事務所の広場:https://kaikei-hiroba.com/

 

部員:簡単な税務相談や以前に聞いた同じ質問を顧問の税理士さんに問い合わせたり、わざわざ税務署に出向いたりするのも気が引けていたので助かります!

 

部長:そうですよね。税金の相談はいろいろと難しいですよね。税金だけでなく、情報収集の差が今後、大企業との格差に直結していく時代になってきました。ところで「データは21世紀の石油」と言われることは知っていますか?

 

部員:えー?!21世紀はデータでクルマが走るんですか??

 

部長:アナガチ間違ってはいませんけど、、、データもガソリンと同じように精製されることで使用出来るようになります。精製されたデータはエネルギーとしてガソリンの代用にはなりませんが、信用できるデータを用いることで自動運転のクルマが事故なく走れるようになるんです。それは遠い未来の話ではなく、たった5年後ぐらいの話です。そうなんです、あと5年で世の中は大きく変化してしまうのです。

 

2025年の崖、超高齢社会像、第四次産業革命

部長:各省庁の発表している2025年問題はざっとこれだけあります。

 

2025年までに日本企業全体1/3が該当。自社や取引先の後継者問題、M&A、黒字廃業が5割。約22兆円のGDPが失われる可能性。出典:中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/hikitugigl/2019/191107hikitugigl03_1.pdf

 

2,025年の崖、デジタルトランスフォーメーション、DX、年間で最大12兆円の損失も

出典:経済産業省https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf

 

中国製造2025、第四次産業革命、インダストリー4.0

出典:総務省https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/pdf/n3100000.pdf

 

2025年までに建設現場の生産を2割向上を目指す。

出典:国土交通省http://www.mlit.go.jp/common/001286930.pdf

 

2025年の超高齢化による医療、介護

出典:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0927-8e.pdf

 

2025年までに銀行収益の 10~40%が喪失するリスクを予測

出典:金融庁https://www.fsa.go.jp/singi/kessai_kanmin/siryou/20170621/09.pdf

 

 

部員:えー!2025年以降、どーなっちゃうんでしょうかニッポンは?!

 

部長:詳細については、ここでは省きますが、従業員やその家族を守るためにも社長さんは会社の中で老朽化、複雑化、ブラックボックス化してしまっているレガシーシステムをDXさせたり(上記、出典:経済産業省2025年の崖を参照)、後継者問題に直面している取引先や競合企業をM&A(吸収合併)するなど、会社存続のためには色々と実現させていかなければならない状況がはっきりしてきますよね。

 

部員:現状の業績を継続するにしても、パーツの納入業者や協力工場といった取引先の後継者問題やデジタル対応も積極的に解決していかないことには自社の事業継続も危なくなるということですね。

 

部長:そうなんです。それには莫大な費用が必要となる可能性が高いです。そのために中小企業の社長さんには大企業の調整後の法人税額を参照していただいた上で、2025年に備えてほしいと思っているんです。まずは、これをみてください。

 

 「大企業の納税率がとても低いって知ってた?」

利益が出ていても法人税負担が少ない大企業150社

出典:東洋経済オンラインhttps://toyokeizai.net/articles/-/314164

 

部員:ひえ〜、このソフトバンクの2兆8千億円の利益が調整後にマイナス8千億円ってどうなってるんですか?マイナスってことは法人税の支払いはゼロってこと?

 

部長:そうなんです。これは上手に会計上の仕組みを利用した結果なのです。このデータの上位50社の平均納税率は6.84%という結果でした。尚、このデータは過去3年間の平均納税率ランキングです。つまり今期だけたまたまということではないのです。

 

部員:わかりました部長!中小企業でも会計上の仕組みをしっかりと利用しましょうということですね!まずは、何から取り組めば良いでしょうか?

 

部長:まずはすぐ出来ることから始めてみましょう。使用してない固有資産を「除却損」か「評価損」で計上したり、回収不能売掛金等は「貸倒損失」でマイナス計上出来るか検討してみましょう。決算月であれば、「未払費用」も先払いしてしまいましょう。他にも「出張旅費規定」を作成したり、役員賞与を「事前確定届出給与」での支払いに変更したりと、現状でも出来ることは結構あります。

 

部員:なるほど!見直しする項目を教えてもらっただけでも助かります。

 

部長:固定資産の除去は有姿除去といって大きな設備などすでに使用してないけど、撤去に費用がかかったりするなどの理由によりそのまま放置している場合などは少々要件がきつくなりますが、帳簿上だけでも計上できたりすることがあるので顧問税理士さんに相談してみて下さい。その他に有償のソフトウェアや型紙、デザイン画なども該当することがあるので問い合わせてみましょう。

 

部長:それと出張旅費規定を作成して、規定に則った手当は非課税所得として法人税を発生させずに済みますよ。一方、役員賞与の「事前確定届出給与」に関しては決定したら必ず規定日に規定額を入金しなければならないので注意が必要です。その他に「定額同額給与」、「利益連動給与」も損益算入が出来るので各種検討してみましょう。

 

部員:でも、これだけの対策ではデジタル対応させたり、M&Aの費用捻出は無理ですね。

 

部長:はい。それでは次回「節税は悪でない!タックスマネージメントのお話」をしたいと思います。大企業がおこなっている会計上のテクニックのお話になります。

 

部員:はい。次回も楽しみですね!

 

 

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